漫画家と編集の関係とその先にあるもの

こんにちは、ポルリンです。

先日かなり反響をよんだ(個人的には反響が大きかったと思う)tweetについて
語らずにはいられなかったのでここで少し分析したいと思います。

こちらのtweetは多分主にクリエイターの界隈で反響を呼ぶ形になっていると思います。
RTの半分以上が引用RTという状態で、ボクもtweetを残しました。
それがこちらです。

この方のプロフィールはアカウントに書いてありますので省きますが
20年のベテラン編集さんで、去年Twitterを始めたという方です。
DMで持ち込みを募集されているくらい熱心な方だというのがわかります。

皆さまの意見として多いと思ったのは

「ガッカリするならちゃんと言え」

だと思います。
ここで漫画家と編集、ひいてはクリエイターとクライアントに至るまでと
クリエイト業界に関係する大きな問題が要因だと考えました。

何がそんなに問題だったのか、先にこの方が
本当に伝えたかったことを分析したいと思います。

1、マンガ業界について
これまで編集さんは表舞台に出ることはあんまりありませんでした。
出版業界が売り上げが全体的に落ちているので皆が表に出て宣伝している感があります。
ボクの知り合いの作家もTwitterを始めておりますが
こいつはお世辞にもSNSをやるようなやつじゃないんです。
でもそれをせざるを得ないくらいにひっ迫していると考えて良いと思います。

編集さんへの正直な意見としては

漫画家にSNSで宣伝をお願いする場合は
SNSの仕様をもっと良く知って欲しい


というのはありました。
気軽に「単行本までに10万フォロワーないと厳しいよ」
という人もいるくらいなので、それがいかに大変なのかわかるには
仕様を知るしかありません。

脱線しましたね、つまりそれほどひっ迫した業界の今をなんとかしたいと思った。
というのが見て取れます。

2、「はぁ?」と思うかもしれませんが
冒頭のこの一文が今回のtweetを良く表している部分だと思うのですが
リプを見てもわかる通りにこの方は別に作家にケンカを売っている訳ではないんです。
しかし言葉のチョイスが強烈過ぎたので本当に「はぁ!?」
で止まってしまったんです。ボクも最初はそう思いました。
しかしSNSとはその少ない文字数で意図や意志を伝えなければいけないので
言葉選び、tweetの分け方というのはかなり難しいと考えます。
上手い人は1文や2文だけで皆の共感を得るくらいに巧みな言葉選びをする人も居ます。
それはセンスと経験によるものなのかな、と個人的には感じます。
tweetをしても「え!?そこが強調されちゃってた!?」なんてこともよくあります。
まだSNSをやって日が浅いのも問題だったかもしれません。

3、大きなすれ違い
この方の想定しているネームのやり取りは連載作家とのやり取りだと思います。
そしてその状況を克明に知る人はSNSの中でも小規模だったと思います。
連載中はネタ出しのために物凄く頭をひねり、藁をもすがる思いでネームを切ります。
「何でもいいから何か言ってくれ!ヒントでもいい!」
というのが連載中の漫画家の気持ちでしょう。
この時編集さんが「こうした方がいいんじゃない?」
というのは作家さんのそういう悩みを解消できる何かであれば良い、というものであって
具体案では無いんです、というか編集さんが具体案をすぐに出せるなら漫画家は悩んでませんwww
でも安心を求めるために編集さんの言うままに直してきてしまう、というのがあります。
これはディスカッション不足なのもありますし
漫画という過酷な労働による逃げ場が無い精神状態
を表したものでもあります。

無論ですが編集さんは漫画家がどんな思いで描いているのかというのを知りません。
漫画家側も編集さんがどんな思いで仕事をしているのか、というのは知る由もありません。
それをSNSという空中に散布させてしまった結果
立場が違う全ての人に向けて放ってしまった言葉
になってしまったんだと思います。

もちろんこれを新人作家に向けた場合や持ち込みの学生に向けて放った言葉であったならば
問題発言になりかねません。
自分よりも何歳も年下に対して、ましてや対等の立場でない者に対しては
やってはいけないと考えます。
このすれ違いによって反響をよんだのだと感じます。

4、クリエイターとクライアントの立場
これがボクのtweetの中にある「立場が対等である場合」に当てはまります。
しかしクライアントとクリエイターが同じ立場である所など
ごくごくごくごくごく一部
大体が安い賃金で使いつぶされています。
こちらでも少し語りました

物を造る側は仕様書が無い状態で物造りをさせられます。
これが既に間違いなのですが「お金を払う側」
として上下関係が成り立ってしまうのです。
それを脱するためには作家になる、アーティストになる、などの
作品の著者になり、強い立場になる必要があります。
クリエイターの中で
アシスタントで物造りだけしていたい
という人より
下積みの積み重ねでいつか作家になりたい
という人の方が多いと思います。
その過程でクリエイターをしている人が上に逆らえる訳が無いのです。

このようにあらゆる立場、状況の人に届けてしまったために今回の騒動(?)
はおきた気がします。
ですがこのように問題が浮き彫りになることは良いことだと思います。

個人的に今回の件で一番問題なところは

「SNSの仕様をよく理解していなかった」

という点にあると思います。
SNSは不特定多数に向けて発信したことになってしまうという
発言に気をつけなければならないツールです。
誰が読んでも70%は理解してもらえるようなスキルが求められると感じます。
厳しい言い方になった理由ですが
作家にSNSで宣伝することはもはや当たり前になってきています。
何度か言ってきましたが、SNSの宣伝前提で商売を考える場合はその宣伝費も工数に入れるべきです。
ですが作家のSNS宣伝を当たり前と思っている大多数が自らSNSアカウントを持つと

「あれは自分には向かない」
「費用対効果が低すぎる」

と言って途中で諦めます。
作家はSNSが得意な訳ではなく、それが当たり前になってしまっているから
やらざるを得なくなっているだけなのです。
依頼する側はそのことを十分に理解し
SNSの仕様や大変さを共感できるようにしておく必要があると考えます。

まだまだこの業界の中で「おかしい」と思う所はたくさんありますが
一つ一つ解決していくことが

今後のクリエイター業界にも貢献していくことだと感じます。

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